地震保険・火災保険申請代行あるいは申請サポートの業者はかなりたくさんありますが、その中でも「申請代行」と呼ぶ業者は注意が必要です。代行とサポートは、似たようなニュアンスですが保険申請で「代行」という行為が違法となるケースがあります。
基本的には保険申請は契約者本人または配偶者、近親者(同居または生計を共にする3親等内の親族)が行わないといけません。それを契約者の代わりに第三者が申請を行う場合には、弁護士資格(または行政書士資格)が必要となります。よくネット上の記事では「申請代行=違法」という内容を見かけますがこれは間違いです。
正しくは弁護士資格(または行政書士資格)も無いのに、契約者の代わりに申請をすれば違法となります。
申請サポートと呼ぶ業者の場合は保険申請の代行は行っていません。
※申請代行と呼ぶ業者でも、代行する部分を調査や写真撮り等の事を指し、申請そのものの代行を行っていない業者もあります。
この辺が少しややこしいので弊社の場合は、お客様から誤解を招かれない様に必ず「申請サポート」と呼んでいます。
実際に逮捕された業者の例
逮捕されたのは、不動産会社「W.I.アセットパートナーズ」(東京都品川区)の社長木内崇雅(たかのり)(41)=港区六本木3丁目=やリフォーム会社「シエルト」(千葉県船橋市)の社長大塚伊織(29)=同市浜町2丁目=の両容疑者ら。
保安課によると、3人は2019年1月、台風被害を受けたとする都内や埼玉県のマンションの区分所有者に代わり、弁護士資格がないのに、保険会社への保険金請求を代行した疑いがある。
上の記事では、契約者の代わりに弁護士資格が無いのにもかかわらず、保険金請求をして逮捕された典型例です。
なので「申請代行」と呼んでいる業者に対しては特に注意が必要です。下記の2点は必ず確認しておいた方が無難です。
弊社が行っている「申請サポート」の内容
各業者によってどこからどこまでのサポートを行うのか多少差があります。参考として弊社のサポート内容と案件をどの様に進めているのか紹介します。
①受付
⇒業務内容に対して詳しく説明させて頂きます。お客様が調査をご希望であれば調査日時を調整します。また、お申込みの際には簡単な契約書を記入して頂いてます。(調査日当日に書いて頂いているケースが多いです)
②調査
⇒家や敷地内の建物の調査を行い地震保険、火災保険で申請出来そうな部分を探します。申請不可の場合はここで終了となり、ご請求はございません。
屋根や雨樋等の高い所を調査する時は高所棒またはドローンを使用するので屋根に上がる事はありません。
③電話申請
⇒申請出来そうな部分をお客様に説明し、保険会社へ電話申請をして頂きます。※弊社では申請を行う際は必ずお客様にして頂いてます。ただし、初めて行う方も多いのでどの様に申請するのかはアドバイスさせて頂いてます。
④書類申請または鑑定
⇒書類申請の場合は、提出書類(見積書、損傷状況の写真)を弊社が作成し、書類の書き方もご案内しています。鑑定の場合は、弊社担当も立ち会います。※業務報酬が弊社より安い業者は大体鑑定の立ち合いを行っていおりません。また、弊社より高くても立ち合いを行っていない所も有ります。
⑤保険会社からお客様に結果連絡
⇒保険会社から保険金が下りるか下りないかの結果連絡がきます。下りる場合は、どの位の金額が下りるのか伝えられます。
⑥お客様から弊社に結果連絡
⇒下りなかった場合は、案件終了となりご請求はありません。下りる場合はお客様の口座に入金されてから、認定通知書(入金金額が書かれた書類)が届きますのでその写しを弊社に送って頂きます。
⑦認定通知書の金額をもとに請求書を発行
⇒弊社に業務報酬をお支払いして頂いて案件終了となります。
お客様が行わなけばならない部分はお客様に行って頂き、お客様が行うのには難しい部分を弊社が行って棲み分けをしております。
完全成果報酬型と完全成功報酬型の違いについて
これも少しややこしいですが、申請サポート業者あるいは申請代行業者には完全成果報酬型と完全成功報酬型があります。
完全成果報酬と完全成功報酬の違いについては下記を参照して下さい。
完全成果報酬とは?
完全成果報酬とは、「一定の成果」に対してのみ報酬が支払われる仕組みのこと。成果として認められる範囲は契約によって異なり、完全成果報酬では仮にひとつのプロジェクトを完遂しなくても、成果をクリアすればその時点で報酬が支払われる。
営業代行をイメージしてみよう
この完全成果報酬については、営業代行会社をイメージすると分かりやすい。なかには成約数のみを成果とするケースも見受けられるが、営業代行会社では「アポイント獲得数」や「商談機会の創出数」を成果にしているケースが多く存在する。このようなケースでは、最終的に成約に結びつかなかったとしても、アポイントや商談機会をつくるだけで報酬が発生する。完全成功報酬とは?
一方で完全成功報酬とは、ひとつのプロジェクトの「成功」に対してのみ報酬が支払われる仕組みだ。たとえば、完全成功報酬では仮にアポイントや商談などの機会をつくっても、成功(成約や売上)につながらなければ報酬は発生しない。
弊社の場合は「完全成功報酬型」です。成功とはお客様が保険金を受け取る事としているので、お客様に保険会社から保険金が入金されなければ一切請求する事はありません。
完全成果報酬型としている所には、案件がある程度進んでいる途中でお客様の都合によりキャンセルを行う際にキャンセル料的な扱いで手数料を請求する所もあります。※この部分に関しては業者によってまちまちなので完全成果報酬型としている所には確認しておいた方が無難です。
保険会社、国民生活センター等が注意喚起するトラブルについて
どの業界もそうですが、業者が増えれば増える程トラブルは多くなります。ここで保険会社や国民生活センター等が注意喚起するトラブルについて説明します。
下記を参照して下さい。
「火災保険が使える」という住宅修理サービスでのトラブルにご注意ください
全国の消費生活センターや国民生活センターに、「自宅に訪問してきた修理業者から『台風で破損した屋根を保険金の範囲内で修理しないか。契約している損害保険会社への申請は当社が代行する』と勧誘された。本当に請求できるのか?」等という相談が多く寄せられています。
主な相談事例
【事例1】
なじみの担当者を信用して修理内容も金額も分からないまま契約したが、解約料として保険金の50%を請求された
【事例2】
保険金で修理できると勧誘され契約したが、契約書面を渡されず、クーリング・オフにも応じない
【事例3】
受け取った保険金が見積額より少なく、解約するといったら見積調査料を請求された
【事例4】
代金として保険金全額を支払ったが、いつまでたっても着工されない
【事例5】
うその理由で保険金を請求することになると思い、勧誘を断ったら嫌がらせをされた
・0円で修理出来る等と勧誘し、保険申請代行または保険申請サポートと工事契約も同時に結び保険金が下りなかった場合でも工事契約を結んでる為、工事料金を請求。
・工事をキャンセルすると支払われた保険金から高額なキャンセル料を請求。
・故意に建物を壊して申請。
・業務報酬の説明不足。
・虚偽の申請をさせる。(経年劣化で壊れた物を自然災害として申請等)
特徴としてトラブルが多いのは「火災保険で0円で建物を直せる」等と勧誘する所です。保険申請と工事契約を同時に結ばせようとする所は特に注意が必要です。保険金が下りたとしてもその金額が少なかった場合は実際に工事に必要な料金を別途支払わなければいけない事もあるでしょうし、また予算内で済ませる為にいい加減な工事になる可能性もあります。
保険金が下りなかった場合は、結局全額自己負担となる場合があるので、「0円で直せる」という勧誘がそもそも嘘となり揉め事の原因となります。その他に嫌がらせ、物を故意に壊す、虚偽の申告をさせる、というのは悪質極まりないです。
類似業者のトラブルが増えている以上、弊社では揉め事の原因となる事は行っていません。
業者の言動がおかしいと思ったらキャンセルしましょう!
自然災害が原因で建物が壊れた場合、火災保険の補償範囲なら申請する事は当然加入者の権利となりますので何も問題はありません。ただ壊れた原因が自然災害ではなく他の原因で壊れたと分かっていたのにも関わらず、申請を行うと虚偽の申告となるのでご注意下さい。
一部の悪徳業者の中にはあれもこれもと自然災害のせいにして申請を促す所があります。もし契約者本人が、自然災害以外の原因で壊れたと言っているにも関わらず「自然災害のせいにして申請しましょう!」と言ってきたら、その業者は間違いなく悪徳業者なので迷わずキャンセルしましょう。また、業者が物を壊している所を目撃したらすぐに警察に通報しましょう。
保険会社もこういった悪徳業者の存在を把握しているので厳しくチェックしている所もあります。もし虚偽の申告をしたと判断されたら契約者にも罪を問われる可能性も0では無いので業者選びには注意しましょう。
破損汚損(不測かつ突発的な事故)の補償について
自然災害が原因ではないのに自然災害として申請するのは違法ですが、自然災害が原因ではなくても補償される例があります。契約内容にもよりますが補償内容の中に破損汚損(不測かつ突発的な事故)という物があればかなり利用出来ます。
ではどの様な事で補償されるのか見てみましょう。
掃除中に壁にものをぶつけて、壁を破損してしまった。
- 保険の対象 建物
- 補償内容 不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)
子どもが室内でボールを投げ、窓ガラスが破損してしまった。
- 保険の対象 建物
- 補償内容 不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)
他にも例はたくさんありますが、わざとでなければ人為的ミスで物を壊してしまった場合等にも補償されるという内容です。そもそも大切な家や物をわざと壊す人は滅多にいないと思います。大体は作業等をしていてうっかりミスをして壊してしまったとなる事が多いでしょう。
ほとんどの人は、自分の責任だから仕方が無いと思いがちです。ところがこういった事までも補償されるのが「破損汚損(不測かつ突発的な事故)」なのです。
破損汚損(不測かつ突発的な事故)が補償となっていれば、うっかり物を壊してしまった場合等は堂々とその時の状況を話して申請しても何も問題ではありません。保険料もそれなりに高く払っているので当然の権利です。
例えば契約者自身が過失で壊したと言ってるのにも関わらず、この補償があるのに自然災害で申請させようとする業者は知識が無い上に虚偽の申告をさせようとしてるので極めて危険な業者です。
まとめ
・申請代行の方が申請サポートよりも業務報酬が高い傾向がある。
・完全成果報酬としている所はキャンセル料を請求する所がある。
・「火災保険を使って0円で建物を直せる」という業者には要注意。
・悪徳業者には虚偽の申請を促したり、故意に物を壊して申請させようとする所がある。
・補償内容に破損汚損(不測かつ突発的な事故)があれば、人為的ミスによって壊れた場合にも補償される。
・工事契約を同時に結ぶ事はありません。
・故意に建物を壊す事は絶対しません。(調査は基本的にお客様がいる時に行います。)
・保険金が下りなければ一切請求する事はありません。
・キャンセル料を請求する事もありません。